第三文明社

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松林が命を守る

高田松原の再生を願う

遠山 益

3・11東日本大震災の巨大津波に無残にも飲み込まれてしまった高田松原。それでも高田松原の復旧を願う著者が書き下ろした渾身の一書。

松林が命を守る
書籍
定価:
1,430円(税込)
ISBN:
978-4-476-03319-9
体裁:
四六判ソフトカバー
ページ数:
192ページ
発刊日:
2013年3月8日
在庫状況:
在庫あり

[目次]
まえがき

序章
 目的地は「高田松原」
 陸前高田市が協力してくれた
 念願の「高田松原」に立つ
 高田松原を実地踏査しての考察
 陸前高田の復興を願って

第一章 松と日本人

(一)生活の中の松
 日本人にとって身近な「松」の存在
 松と文化・芸術
 和歌・俳句に詠まれた松
 松と日本画
 日本人の生活に根づいた松
 実用面における松

(二)植物としての松の性質
 松の植物学的な側面は
 日本の固有種としてのマツ

第二章 高田松原の由来

(一)防風林・防潮林としての高田松原
 松原の基礎を造成した二人の先輩
 菅野杢之助の子孫たちの尽力
 松坂新右衛門によって作られた松林
 明治以降の高田松原

(二)近年の高田松原
 松原に対する人々の認識
 海岸林の存在意義の変遷
 三陸における地震津波の体験
 社会の変遷と高田松原
 自然と共生する社会実現のために

第三章 三陸地方の地震と津波
(一)これまでの三陸の地震と津波
 三陸沖の地殻構造の特徴
 昭和三陸津波の実体験に学ぶ

(二)東日本大震災の地震
 東日本大震災における地震は
 地震学者の予想を上回る規模の地震だった
 今後も連動型地震発生が心配されているが

(三)M9級地震を予測できなかったおもな理由
 大きく四点の要素があげられる
 総合的見地からの地震津波対策の必要性

(四)津波の性質
 津波発生の原因は
 湾の地形や位置と津波

(五)東日本大震災における津波被害
 甚大な被害を振り返ってみると
 津波による死者が九割

第四章 高田松原を復旧させるために
(一)海岸林造成の計画及び実行に先だって留意すべきこと
 海岸林と保安林
 保安林の公益性を再考すべきである

(二)津波に対する海岸林の効果
 海岸林の持つ津波防禦効果
 防潮林が果たした津波防止効果の実例
 海岸林の防潮林以外の役割

(三)津波災害を予防するために
 津波災害を予防するために
 避難と防潮堤
 防潮堤をめぐっての課題
 その他の予防策
 地震津波情報と各種防災対策

第五章 新高田松原の造成
(一)新高田松原造成計画の大要
 貴重な先達の教え
 高田松原の地形的特徴と課題
 百年の大計としての高田松原の復旧を

(二)造林の方法・育成・更新その他
 効果的な防潮林とするために
 植栽後の手入れが肝要
 造林における注意事項

(三)新高田松原をどう位置づけるか
 今回の大震災からの反省に基づく高田松原の再生
 新高田松原の機能を限定的に

終章
 3・11大震災後の高田松原跡地に立って 
 衆知を集めて未来を拓く
 先達の知恵を活かし高田松原の復旧を

おわりに
 先祖に林学者がいた
 森林文化史の視点からの連載を通じて
 東日本大震災の衝撃
 先人達の偉業を未来に活かす
 高田松原の再生を切に祈る

参考引用文献一覧
索引

[著者紹介]
遠山益(とおやま・すすむ)
1930年、福島県会津若松市生まれ。お茶の水女子大学名誉教授。理学博士。日比谷公園などを造り「公園の父」と呼ばれる本多静六氏(林学博士・造園家)の曽孫。東京教育大学(現筑波大学)理学部生物学科卒業。同大学大学院博士課程修了。専門は生物学。お茶の水女子大学教授、聖学院大学教授などを歴任。
著書に『人間環境学』『図説生物の世界』『本多静六 日本の森林を育てた人』『生命科学史』など多数。